● 記録:長生寺 門徒 廣瀬隆夫
● 2022年11月26日(土)13時~16時
● 研修生 16名
・開会式13時〜13時30分(開式の言葉、正信偈、浄土真宗の生活信条、前組長橋本さん挨拶、真宗宗歌)
・講義13時30分~14時30分「いのち・平和について 念仏者の視点」高願寺住職:宮本義宣さん
・修了式14時45分〜16時(開式の言葉、修了証・記念品授与、前組長挨拶、恩徳讃、閉式の言葉)
・集合写真撮影
・連絡事項(中央研修について、鎌倉組仏教壮年会連盟について)
■ 講義「いのち・平和について」の感想
※この内容は、お話を聴きして得た私の個人的な感想を書いたものです。
2004年5月に浄土真宗本願寺派(西本願寺)が戦争中に出した戦争協力を指示する通達などを失効させる「宗告」を発布したというお話がありました。そこで、国豊民安、兵戈(ひょうが)無用、兵戈戦恩というお言葉を教えていただきました。仏教が広まれば国が豊かになり、兵隊もいらない、戦争も治まるという意味だそうです。命を大切にする、そのために平和への取り組みの大切さを痛感しました。
戦争という極限状態の中で、ダメだと思ってもそうするしか選択のしようがないことが起きていたというお話がありました。ウイリアム・スタイロン著の「ソフィーの選択」という本の紹介がありました。ソフィーには二人の子どもがいました。ナチの将校がソフィーにどちらか一人の子どもを選べ、そうしないと二人ともガス室に送るという難題でした。ソフィーは悩んだ挙げ句、下の子を選び、その罪悪感で精神を病み一生苦しんだそうです。
ナチの将校は、なんで、このような選びようのない悪魔のような難題を出したのでしょうか。
一定の条件下では人間には冷酷で非人間的な行為を行うということを証明した実験があるそうです。アイヒマン実験では、電気ショックを与える想定のもとで行われ、電気ショックで学習者に苦痛を与えることが分かっていても、権威者からの命令があると、40人のうち26人が服従してしまうことが明らかになったそうです。人間にはこういう弱さがあるのです。親鸞聖人の言われる凡夫を思い出しました。
鉄腕アトムというマンガでは正義のヒーローのアトムが悪事をはたらく人を倒すというストーリーです。今は、ワンピースというマンガが流行っているそうです。ワンピースの主人公は海賊です。いろいろな人たちと関わり仲間になりながら冒険をしていく話です。そこには、悪も善もありません。時代とともにヒーローの考え方が変わるのです。正義は、太陽のように一つではなくて、星のようにたくさんある。ウクライナとロシアが戦争をしていますが、どちらが悪いのではなく、両国のそれぞれの正義感のために戦っている、そんなことも考えました。
戦争は、国と国との戦い、殺し合いです。それ自体が犯罪なのに、戦争犯罪というやってはいけないルールがあるというのです。戦争でやって良いことがあるというのは大きな矛盾です。
世の中は矛盾や理不尽に満ちています。コンピュータが扱うデジタルのように簡単に白黒と解決できるものは少ないのです。そのような世界で宗教が担うこと、念仏者だから出来ること、私が「何をなすべきか」ということは、事実から目をそらさず、真実に自らを問うていきながら「自責の念」に押しつぶされそうになっていく人にどこまでも寄り添い、声にできない嗚咽を自分の耳で聞いていくことしかできない、というお話に感動しました。親鸞聖人の言われる聴聞とはまさにこのことかと思いました。
聴聞を辞書で引いてみますと、聴くは、「聞いた内容を理解してそれに応じる」、聞くは「特に注意・関心を持って聞いたわけではないが、なかば自然に耳に入ってくる」と出ています。能動的に聞いて共感するのが聴くで、その言葉を自然に受け入れるというのが聞くと理解できます。「押しつぶされそうになっていく人にどこまでも寄り添い、声にできない嗚咽を自分の耳で聞いていく」とは、まさにこのことなのでしょうね。正しく聴聞ができれば争いごとはなくなっていくのではないかと思います。
今回の最後の連研では、平和について、いろいろなことを考えさせていただきました。ありがとうございました。